この記事の結論
- ひどい事業所は実際にありますが、制度全体がひどいわけではありません。実際の相談18件で多かったのは「スタッフの対応」と「もうけ優先の疑い」の2つでした
- 「就職させない方が儲かる」は2018年度の報酬改定で逆になっています。実績のない事業所は報酬が最高区分の約4割まで下がり、事業所の数自体も減っています
- 事業所ごとの就職実績・定着率は、見学前にWAM NETで無料で確認できます
就労移行支援を調べていくと、検索候補に「ひどい」「闇」という言葉が出てきて、不安になった方も多いのではないでしょうか。この記事では、Yahoo!知恵袋に実際に寄せられた相談18件を、厚生労働省の公開データと照らし合わせて、「ひどい」という評判の中身を確かめていきます。
「ひどい」と言われる理由|実際の相談18件を読むと2つに分かれる
Yahoo!知恵袋で「就労移行支援 ひどい」などの言葉とともに語られている相談を18件読んで分類しました。いちばん多かったのは「スタッフの対応」への不満と「事業所がもうけを優先している」という不信で、それぞれ6件。訓練内容の薄さへの不満が3件で続きます。
全体の内訳は次のとおりです。
| 相談の内容 | 件数 |
|---|---|
| スタッフ・職員の対応(高圧的、不公平、ハラスメント) | 6件 |
| 事業所のもうけ優先・囲い込み(辞めさせてくれない、期間の引き延ばし) | 6件 |
| 訓練内容が薄い・レベルが合わない | 3件 |
| 就職できるか不安・出口が見えない | 1件 |
| 利用者どうしの人間関係トラブル | 1件 |
| 工賃が出ない・お金が苦しい | 1件 |
先に結論を言うと、「ひどい」の正体はほぼ2種類です。1つはスタッフという「人」の問題。もう1つは事業所の運営という「仕組み」の問題です。この2つは原因も対処法も違うので、分けて見ていきます。

スタッフの対応への不満は、深刻なものから相性まで幅がある
18件のうち6件は、スタッフや職員の対応への不満でした。「私が教えてあげてるんだ」という態度を取られた、担当を変えたら元の担当者から挨拶を無視されるようになった、体調不良の連絡をしたら飲酒をしつこく疑われた、といった相談です。
深刻さには幅があります。退所後につきまとわれたというハラスメント級の相談がある一方で、新人スタッフの言葉づかいが気になるという相性に近いものもありました。同じ「スタッフがひどい」でも、苦情として申し立てるべきものと、担当変更で解決するものが混ざっています。
ここで押さえておきたいのは、スタッフの質は事業所ごとどころか担当者ごとに違うということです。「就労移行支援はスタッフがひどい」と制度全体の話にしてしまうと、対処を間違えます。
訓練内容が薄い・自分のレベルに合わない
3件は訓練内容への不満です。ExcelもWordも実務で使えるのに基礎講座を繰り返された、見学したらビーズ集めのような作業と冊子の読み上げだけだった、半年通って新しく得たものがない、という相談でした。
これは「事業所がひどい」というより、事業所の訓練メニューと本人のレベルが合っていないミスマッチです。就労移行支援の訓練内容は事業所ごとにまったく違い、パソコンの基礎から始める所もあれば、プログラミングやWebマーケティングのような専門スキルを教える所もあります。合わない場所に通い続けても得るものは少ないので、これは選び方の話として、後半であらためて説明します。
「もうけ優先」の不信|辞めたいと言うと引き止められる
もう1つの6件は、事業所がお金のために利用者を囲い込んでいるのでは、という不信でした。辞めたいと伝えたら不安をあおる言葉で引き止められた、1年通っても就職の支援がなく「2年通わせて利用料を取るのが目的では」と感じた、という相談です。中には、よその事業所はどこも繋がっているから行き場がない、と言われた人もいました。
無給で内職のような作業をさせられて、「障害者ビジネス」という言葉がしっくりくると書いた人もいました。回答欄には「事業所は利用者を就職させると報奨金をもらえる」といった説明も出てきます。
ただ、この「もうけの仕組み」の話は、相談者の推測と回答者の又聞きが混ざっていて、正確ではありません。実際の報酬のルールがどうなっているかは、次で厚生労働省の資料から確かめます。
「就職させない方が儲かる」は、今の制度では逆です
「囲い込んだ方が事業所は儲かる」という疑いが本当なら、たしかに身構えた方がいいでしょう。そこで報酬のルールを確かめます。
就労移行支援の事業所に入る報酬(基本報酬)は、2018年度から「利用者が就職して6ヶ月以上働き続けたか」という実績に連動しています。実績がない事業所は利用者1人1日あたり479単位、定着率5割以上なら1,210単位。つまり、就職させられない事業所ほど収入が減る仕組みです。
厚生労働省の資料にある単価表(定員20人以下の場合)はこうなっています。
| 就職後6ヶ月以上の定着率 | 基本報酬(1人1日あたり) |
|---|---|
| 5割以上 | 1,210単位 |
| 4割以上5割未満 | 1,020単位 |
| 3割以上4割未満 | 879単位 |
| 2割以上3割未満 | 719単位 |
| 1割以上2割未満 | 569単位 |
| 0割超1割未満 | 519単位 |
| 実績なし | 479単位 |
1単位はおよそ10円なので、ざっくり計算すると実績なしは1人1日あたり約4,800円、最高区分は約12,100円。2.5倍の差です。地域ごとの実額と、この報酬が事業所の経営にどう効いているかは「からくり」の記事でまとめて開示しています。利用者を2年間囲い込んで就職させない事業所は、就職させて次の利用者を迎える事業所の半分以下の単価で運営することになります。
この仕組みは2018年度の報酬改定で入った
昔から実績連動だったわけではありません。以前は、通った日数に応じて報酬が支払われる仕組みに近く、「通わせておくだけで収入になる」という批判が成り立つ時期がありました。2018年度(平成30年度)の障害福祉サービスの報酬改定で、就職後6ヶ月の定着実績に応じた段階制に変わり、移行実績が2年間ない場合の減算も強化されています。

「就労移行支援は儲け主義」という評判の少なくない部分は、この改定より前の記憶や、改定を知らないままの又聞きが土台になっていると考えられます。
それでも「囲い込み」の相談がなくならない理由
制度が変わっても、相談は2026年になっても投稿され続けています。理由は2つ考えられます。
1つは、実績の低い事業所もすぐには消えないことです。報酬が下がっても、定員を埋めれば当面の運営はできます。もう1つは、報酬制度ではスタッフの質までは直らないことです。引き止めの言葉づかいがきついとか、態度が高圧的といった「人」の問題は、単価がいくら変わっても残ります。
では、そういう事業所は実際どれくらい残っているのでしょうか。
ひどい事業所はどれくらいあるのか|公的データで見る現状
「ひどい事業所が全体の何%」という最新の公的統計は、調べた範囲では見つかりませんでした。ここは正直に言っておきます。その上で、手がかりになる公的データは2つあります。
1つ目は少し古い数字です。厚生労働省の調査では、平成20〜24年(2008〜2012年)の時点で、一般就労への移行実績がゼロの事業所が毎年35〜42%ありました。3〜4割です。一方で移行率20%以上の事業所は21.4%から41.3%へ増えていて、実績を出す事業所と出さない事業所にはっきり分かれていく様子が当時から指摘されていました。
2つ目は直近の動きです。国保連のデータでは、就労移行支援の事業所数は令和元年度の3,141ヶ所から令和6年度の2,846ヶ所へ、およそ1割減りました。ところが利用者数は同じ期間に34,045人から37,410人へ増えています。就職者も増えていて、令和5年に就労移行支援から一般就労へ移った人は15,675人。利用を終えた人のうち一般就労に移った割合は58.8%でした。
事業所は減っているのに、利用者と就職者は増えている。実績を出せない事業所が姿を消し、残った事業所に人が集まっている、と読める数字です。「ひどい事業所は実際にある。ただし減っていく流れにある」というのが、データから言える現状だと思います。

行政処分も実際にあります
「闇」という言葉の裏付けになる事例も、隠されてはいません。都道府県は問題のある事業所の処分を公表しています。
例えば東京都は2023年に、就労系の障害福祉サービス事業所(就労継続支援B型)の指定取り消しを公表しました。サービスを提供していない日の請求などの不正請求が約2億2,800万円、利用者に支払うべき工賃を「預り金」と称して渡していなかったことが理由です。就労移行支援の事業所でも、2025年に虚偽の申請などを理由に3ヶ月間の新規受け入れ停止処分を受けた例があります。
ひどい事業所が実際にあることと、それを見つけて処分する仕組みが動いていることは、セットで覚えておいていいと思います。
いま通っている事業所を「ひどい」と感じたときにできること
すでに通っていて、この記事の相談例に心当たりがある方もいるかもしれません。先に大事なことを言うと、利用をやめる・別の事業所に移る決定権は利用者にあります。事業所の許可は要りません。そもそも使い続けるかどうかを迷っている場合は、「やめとけ」と言われる理由を検証した記事もあわせて読んでみてください。
事業所は変更できる
「他に行くとこはない」と言われたという相談が知恵袋にありましたが、そういう決まりはありません。利用する事業所は途中で変えられます。手続きの流れは、お住まいの自治体の窓口で案内してもらえます。
ただし、利用できる期間は原則として通算2年です(市町村の審査で必要と認められた場合に限り、最大1年延長できる例外があります)。合わない事業所で消耗する時間はこの2年から減っていくので、迷っている期間が長いほど不利になります。変えるなら早い方がいいです。
事業所に直接言いにくいときの相談先
担当スタッフ本人に不満を伝えるのは、力関係を考えるとハードルが高いと思います。その場合は、市区町村の障害福祉窓口か、利用計画を作ってくれた相談支援専門員に伝えてください。事業所を通さずに動いてくれます。
後で紹介するWAM NETの事業所ページには、その事業所の苦情窓口も載っています。ハラスメントのような深刻なケースは、我慢して通い続けるより、記録を取って外の窓口に相談する方が解決への早道です。
見学前に「ひどい事業所」を見抜く|WAM NETの実績確認と質問リスト
これから探す方に、いちばん実用的な話をします。事業所ごとの就職実績と定着率は、国の情報公表制度によって誰でも無料で確認できます。2018年4月から、事業所には実績の報告が法律で義務付けられていて(障害者総合支援法76条の3)、その内容がWAM NET(ワムネット)というサイトで公開されているからです。
WAM NETで実績を確認する手順
見学の予約を入れる前に、5分でできる次の確認をおすすめします。

- WAM NETの「障害福祉サービス等情報検索」を開く(wam.go.jp内)
- 「地域から探す」で都道府県→市区町村を選び、サービスの種類で「就労移行支援」に絞る
- 気になる事業所名をクリックし、詳細ページの「サービス内容」タブを開く
- 「一般就労への移行者数(移行率)」を3年分見る
- 「一般就労先での定着者数(定着率)」を就職後6ヶ月・1年・2年・3年の4つで見る
同じタブに、一般就労までの平均利用期間や苦情窓口も載っています。パンフレットの「就職者数◯名!」という宣伝と違って、こちらは法律にもとづいて報告された数字です。
定着率は「年数が経つと下がっていないか」を見る
移行率(就職した人の割合)が高くても、それだけで決めない方がいいです。実際にWAM NETの公表データを見ていくと、就職後6ヶ月の定着率は92%なのに、2年後には65%前後まで下がっている事業所もあります。とにかく就職させて数字を作り、合わない職場でも送り出していれば、定着率は年数とともに落ちていきます。
6ヶ月・1年・2年の定着率があまり落ちていない事業所は、本人に合う職場とのマッチングまで面倒を見ている可能性が高い、と考えていいと思います。
見学で聞く質問と、答えを渋る事業所のサイン
ここまでの数字を手元に置いて見学に行くと、質問の質が変わります。聞くことは4つで足ります。
- 昨年度の就職者数と、利用をやめた人全体に対する割合
- 就職した人の職種と、障害者雇用・一般雇用の内訳
- 就職後1年の定着率
- 自分の希望(職種・在宅勤務など)に対応する訓練があるか
訓練の中身が自分に合うかどうかの見極め方は「意味ない」という声を検証した記事に、そもそも自分が対象になるのかは向いてない人・向いている人の記事に書いています。
WAM NETの公表値と食い違う説明をしたり、実績の質問をはぐらかしたりする事業所は、その時点で候補から外していいと思います。逆に、うまくいかなかったケースまで話してくれる事業所は信頼しやすいです。
私たちシャイニー錦糸町も就労移行支援事業所なので、この記事の基準はそのまま自分たちに返ってきます。見学に来られる方には、実績も、AI・Webマーケティング訓練や在宅訓練の中身も、同じ基準で質問してもらって構いません。
よくある質問
ひどい就労移行支援はどれくらいありますか?
割合を示す最新の公的統計はありません。平成20〜24年の厚生労働省調査では移行実績ゼロの事業所が3〜4割と指摘されていました。現在は事業所数が減る一方で就職者数は増えており、実績のない事業所は減っていく流れにあります。個別の事業所はWAM NETで確認できます。
働いているのに給料が出ないのは、ひどくないですか?
就労移行支援は雇用契約ではなく、就職に向けた訓練の場なので、原則として給料や工賃は出ません。逆に利用料がかかる制度ですが、負担額には世帯所得に応じた月の上限(0円・9,300円・37,200円)があります。金銭面が苦しい場合は自治体の窓口で負担区分を確認してみてください。
いじめや人間関係のトラブルはありますか?
今回読んだ相談18件のうち、利用者どうしのトラブルは1件、スタッフとの関係の悩みは6件でした。ゼロではありません。ただ、対処の道はあります。利用者間のことも含めて、事業所に言いにくければ市区町村の窓口や相談支援専門員に相談できます。
口コミで「ひどい」と書かれている事業所は避けるべきですか?
口コミは1人の体験なので、それだけで決めるのはおすすめしません。スタッフの合う合わないは人によって逆になることもあります。WAM NETの移行率・定着率という客観的な数字を見て、見学ではこちらの質問に事業所がどう答えるかを確かめる。この2つで判断する方が失敗しにくいです。
まとめ|評判は制度ではなく、1つ1つの事業所につく
最後に、この記事で確かめたことを整理します。
- 「ひどい」という相談の正体は、大きく「スタッフの対応」と「もうけ優先の疑い」の2つ。前者は担当変更や外部窓口、後者は実績の確認で対処できます
- 「就職させない方が儲かる」は2018年度の報酬改定で逆転済み。実績のない事業所ほど報酬が下がり、事業所数が減る一方で就職者は増えています
- 事業所ごとの移行率・定着率はWAM NETで見学前に無料確認できます
就労移行支援に限らず、評判というものは制度全体ではなく1つ1つの事業所につきます。だから「就労移行支援はひどいのか」と考え込むより、目の前の事業所を確かめる手段を持つことが、いちばんの自衛になります。
その確かめ方は、この記事で全部お伝えしました。WAM NETで数字を見て、見学で4つの質問をする。ここから始めてみてください。錦糸町周辺で探している方で、在宅訓練やAI・Webマーケティングの訓練に興味がある方は、シャイニー錦糸町も比べる1カ所に入れてみてください。
この記事の情報について
本記事は、就労移行支援事業所シャイニー錦糸町が、公的資料と、Yahoo!知恵袋などに公開されている相談をもとに作成しています。制度の数値は下記の一次資料で確認しています(2026年8月時点)。
- 厚生労働省「就労移行支援」事業説明資料(基本報酬・利用期間・対象者): https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000571840.pdf
- 厚生労働省「平成30年度障害福祉サービス等報酬改定の基本的な方向性について」: https://www.mhlw.go.jp/content/12204500/0000187492.pdf
- 厚生労働省「一般就労への移行率別の施設割合の推移」(障害福祉課調べ): https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/3b.pdf
- 社会保障審議会障害者部会 第152回 参考資料(事業所数・利用者数・一般就労移行者数): https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/f5cf8605-5b56-4d60-be7a-fbe13973d796/aaae2114/20251107_councils_shingikai_shougaiji_shien_f5cf8605_08.pdf
- 厚生労働省「障害福祉サービス等情報公表制度」: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000202214_00001.html
- WAM NET「障害福祉サービス等情報検索」: https://www.wam.go.jp/sfkohyoout/
- 厚生労働省「障害者の利用者負担」: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/hutan1.html
- 東京都報道発表(2023年・障害福祉サービス事業所の指定取消): https://www.spt.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2023/04/03/02.html
- 東京都報道発表(2025年・就労移行支援事業所の一部効力停止): https://www.metro.tokyo.lg.jp/information/press/2025/08/2025082601
- 引用した相談: Yahoo!知恵袋の公開投稿(2016〜2026年)
