この記事の結論
- ネットでよく挙がる「向いてない人の特徴」は8つ。ただし中身はばらばらで、「今は向いていない」「別の窓口が早い」「事業所しだい」「誤解」の4つに分かれます
- 向いているかどうかは、性格ではなく「必要な支援があるか」で決まります。制度が用意しているのは訓練・求職活動の支援・職場の開拓・就職後の相談の4つで、1つでも要るなら使う意味があります
- 法律が決めている条件は3つだけです。就労を希望していること、原則65歳未満であること、一般の会社に雇われる見込みがあること。体調やスキル、性格は、条文には出てきません
- 2025年10月に就労選択支援という制度が始まりました。国の資料には「就労の可否を判断したり、どの就労系障害福祉サービスを利用するかの振り分けを行うものではない」と書いてあります
「就労移行支援 向いてない人」と検索して、自分が当てはまっていないかを確かめている方も多いと思います。並んでいる特徴は、どのサイトを見てもだいたい同じ6つです。この記事では、その6つによく見かける2つを足した8つを1つずつ見たうえで、向いている人との違いがどこにあるのかまでを解説します。
向いてない人としてよく挙がる8つの特徴
検索で上に出てくる記事を見比べると、挙がっている特徴はほとんど同じでした。よく見かけるものを足すと、次の8つになります。
| よく言われる特徴 | 実際のところ |
|---|---|
| 就労意欲がない・就職を希望していない | 働くつもりが今はないなら、目的が合いません |
| 体調が安定していない | 今は向いていません。落ち着いてからのほうが続きます |
| 利用中の生活費の目途が立たない | 同上。先に生活の土台を整える話です |
| 求人の紹介だけを受けたい | 求人を紹介する機関ではありません。別の窓口が早いです |
| すぐに就職したい | 標準の利用期間は24か月。急ぐ人には向きません |
| 専門的な高いスキルだけを学びたい | 事業所によります。専門的な訓練をしているところもあります |
| 経験やスキルがあって訓練が要らない | これも事業所によります。訓練の中身に差があります |
| 外出が難しい | 在宅での訓練という選択肢があります |
同じ「向いてない」でも、中身は4つに分かれます。順番に見ていきます。
今は向いていない、と言えるもの
働くつもりが今はない場合、体調が安定していない場合、通っている間の生活費の当てがない場合。この3つは、始めても続かないことが多いです。
体調については、通所が週に数日から毎日の活動になるので、体がもちそうかどうかを主治医に相談してから決めてください。生活費のほうも、先に土台を整えてから通い始めるほうが安全です。この2つは適性の話ではなく順番の話なので、「今は」が付きます。詳しくは「やめとけ」と言われる理由を検証した記事で書いています。
別の窓口のほうが早いもの
求人の紹介だけを受けたい、すぐに就職したい。この2つは「向いていない」というより「別のところに行ったほうが早い」です。
就労移行支援が用意しているのは、訓練、求職活動の支援、適性に応じた職場の開拓、就職後の定着の相談の4つです。求人そのものを紹介する仕組みはありません。求人を見たいだけなら、ハローワークの障害者窓口や障害者向けの転職サービスに行くほうが早いです。
期間も同じです。標準の利用期間は24か月と決まっています。市区町村の審査を経て最大1年の更新ができますが、もともと時間をかけて準備する場として作られています。来月までに就職したい人には向きません。
事業所によって答えが変わるもの
専門的なスキルを学びたい、逆に経験があって訓練は要らない。この2つは、就労移行支援という制度で決まる話というより、どの事業所を選ぶかの話です。
訓練の中身は国が細かく決めていないので、事業所ごとにかなり差があります(この差がどこから来るのかは「からくり」の記事で報酬の仕組みから説明しています)。パソコンの基礎とビジネスマナーが中心のところもあれば、専門的な訓練をしているところもあります。シャイニー錦糸町の場合は、AIとWebマーケティングの訓練を行っています。ただし目的はあくまで就職なので、就職は考えずスキルだけ身につけたい場合は、スクールのほうが合います。訓練の中身の見極め方は「意味ない」という声を検証した記事で扱っています。
誤解になりやすいもの
外出が難しい場合は、在宅での訓練という制度があります。条件は決まっていますが、通えないから対象外、ということにはなりません。
コミュニケーションが苦手なことも、向いていない理由にはなりません。むしろ職場でのやりとりに不安があるなら、そこを支援してもらう場所です。
向いている人|必要な支援が1つでもあるとき
では反対に、向いている人はどんな人か。性格で説明するのは、あまり役に立たないと思っています。就労移行支援が用意している支援は法律で決まっていて、次の4つです。
制度が用意しているのは4種類の支援
- 就労に必要な知識と能力を上げるための訓練(生産活動や職場体験を含む)
- 求職活動に関する支援
- その適性に応じた職場の開拓
- 就職後に職場へ定着するために必要な相談
確かめ方は単純です。この4つのうち、いま自分に必要なものが1つでもあるなら、使う意味があります。1つもないなら、ほかの窓口を当たったほうが確実です。
必要なのが求人だけなら、別の窓口が早い
例えば、体調も整っていて、応募書類も面接も自分で進められて、あとは求人を見たいだけ。この場合に要るのは求職活動の支援だけで、それも求人そのものの紹介とは違います。ハローワークの障害者窓口で足ります。
反対に、働いた経験がない、面接で自分の特性をどう説明していいか分からない、就職した後に続くかどうかが不安。こうした場合は、訓練と、職場の開拓と、就職した後の相談がまとめて必要になります。求人を探すだけでは埋まらない部分なので、時間をかける値打ちがあります。
「向いてない人」と「使えない人」は、別の話です
ここまでは向き不向きの話でした。これとは別に、制度として使えるかどうかという線があります。ここを混ぜると分かりにくくなるので、分けて見ます。
先に結論を言うと、8つの特徴のうち、制度上ほんとうに「使えない」ことになるのは1つだけです。就労を希望していない場合だけで、残りの7つは、条件を満たしていれば制度としては使えます。
法律に書かれている条件は3つ
条文をそのまま見てみます。障害者総合支援法の施行規則、第六条の九です。
(前略)就労を希望する六十五歳未満の障害者(中略)であって通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれるもの(中略)につき、生産活動、職場体験その他の活動の機会の提供その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練、求職活動に関する支援、その適性に応じた職場の開拓、就職後における職場への定着のために必要な相談その他の必要な支援とする。
前半が対象になる人、後半が受けられる支援の中身です。読みにくい文ですが、対象の部分だけを取り出すと「就労を希望する」「六十五歳未満」「通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる」の3つになります。体調やコミュニケーションの得意不得意は、ここに出てきません。ただし、3つ目の「見込み」を判断するのは市区町村です。なので、体調をまったく見ないわけではありません。
もう1つ、この条文とセットで見ておきたいものがあります。同じ法律の第四条で、「障害者」は18歳以上と定められている点です。この条文には、発達障害のある方が精神障害者に含まれること、政令で定める難病などのある方も対象に入ることが、はっきり書いてあります。
年齢の線は18歳以上65歳未満。65歳には例外もある
年齢だけは、はっきりした線が引かれています。18歳以上65歳未満です。18歳未満の方は、この法律でいう「障害者」に当たらないため、別の制度の対象になります。
65歳のほうには例外があります。65歳になる前の5年間、続けて障害福祉サービスの支給決定を受けていて、65歳になる前日に就労移行支援の支給決定を受けていた場合は、そのまま使い続けられると条文にあります。
使えるかどうかを決めるのは、事業所ではありません
ここが誤解されやすいところだと思います。就労移行支援を使えるかどうかを判断するのは市区町村です。利用計画の案を出して、市区町村が支給決定をする、という手続きになっています。
つまり事業所は、見学に来た人を「向いていないので断る」という立場にいません。事業所ができるのは、見学と相談を受けて、制度の説明をすることまでです。
ここまでの条件と、4つの支援を1枚にすると、確かめる順番はこうなります。

図: 向き不向きを条件で確かめる順番(障害者総合支援法施行規則 第六条の九・同法第四条をもとに作成)
どんな人が行くのか|全国で月3万7千人、1か所あたり13人
検索で実際に入力されている質問を見ると、「向いてない人」と同じくらい「どんな人が行くの?」「どんな人が通っているの?」と調べている方が多いようです。ここは印象で語らず、国が公表している数字で答えます。
利用者は月あたり約3万7千人、事業所は2,846か所
厚生労働省が2026年6月に公表した資料に、就労移行支援の推移が載っています。
| 年度 | 利用者数(1か月平均) | 事業所数(1か月平均) |
|---|---|---|
| 令和元年度 | 34,045人 | 3,141か所 |
| 令和2年度 | 34,747人 | 3,011か所 |
| 令和3年度 | 35,607人 | 3,040か所 |
| 令和4年度 | 35,857人 | 2,985か所 |
| 令和5年度 | 36,882人 | 2,934か所 |
| 令和6年度 | 37,410人 | 2,846か所 |
出典: 厚生労働省「障害者雇用・福祉施策の現状等について」(障害者就労に係る雇用福祉横断検討会 第1回・2026年6月)。もとは国保連データ
利用者数を事業所数で割ると、1事業所あたりの平均が出ます。令和6年度は37,410人を2,846か所で割って、およそ13人です。学校のクラスよりずっと小さく、毎日ほとんど同じ顔ぶれになる規模だと考えてください。
使っている人は、むしろ少数です
同じ資料の1ページ目に、もう1つ大きな数字があります。18歳から64歳で、施設に入所したり入院したりしていない障害のある人は、およそ487万人です。
この487万人に対して、就労移行支援を使っているのは月あたり約3万7千人でした。割合にすると0.8%ほど、およそ130人に1人になります。ただし487万人には、働くつもりのない方もすでに働いている方も含まれています。ですから「使える人のうち何%か」という数字とは違います。「働く年代の障害のある人全体の中でどれくらいか」として見てください。
それでも、この数字は1つのことを教えてくれます。就労移行支援は、障害のある人がみんな通る道ではありません。企業で働いている障害のある人は70万5千人で、就労移行支援の利用者は月3万7千人ですから、桁が1つ違います。使わないほうが多数派なので、「使っていない自分は何かが欠けている」という考え方は成り立ちません。
事業所は減って、1か所あたりの人数は増えている
表をもう一度見ると、5年で事業所は3,141か所から2,846か所に減っています。一方で利用者は34,045人から37,410人に増えました。1か所あたりに直すと、およそ11人から13人になった計算です。
ただ、この数字から事業所ごとの中身の違いまでは分かりません。どの事業所を選ぶかの話は「ひどい」評判の検証記事で、公的サイトでの実績の確かめ方も含めてまとめています。
向いているか確かめる制度が、2025年10月にできました
条件も数字も見たうえで、自分に合うかどうかを一人で決めるのは、やはり難しいと思います。2025年10月から、まさにそこを支える「就労選択支援」という障害福祉サービスが始まっています。
短期間の作業を通じて、本人と一緒に整理するサービス
就労選択支援は、短期間の作業などを通じて、就労に関する適性や知識、能力を評価し、働くうえで必要な配慮を整理するサービスです。法律に定義があります。
やることは4つです。必要な情報をもらうこと、実際に作業をしながら様子を見てもらうこと、関係する機関が集まる会議に出ること、そして評価の結果をまとめてもらうこと。利用の期間はおおむね2週間、長くても2か月程度とされています。
「振り分けを行うものではない」と書かれています
このサービスについて、国の資料にはこうあります。
その過程の結果として、就労系障害福祉サービスの活用を含めた進路について本人が選び、決定していくことを支援する。そのため、就労選択支援は就労の可否を判断したり、どの就労系障害福祉サービスを利用するかの振り分けを行うものではない。
「向いてない人」という言葉でここまで読んできた方に、いちばん伝えたいのがこの一文です。制度は、向いている人と向いていない人を選り分けるための仕組みではない、ということです。同じ資料には、本人と協同して整理する、本人の自己理解を促す、という説明もあります。判定を受けに行く場ではなく、一緒に整理してもらう場です。
就労移行支援を考えている人は、希望すれば使えます
誰が使えるのかは、サービスごとに扱いが違います。就労継続支援B型を新しく使う場合は、2025年10月から原則として就労選択支援を先に使うことになりました。就労継続支援A型を新しく使う場合と、就労移行支援を標準の期間を超えて更新する場合は、2027年(令和9年)4月から、原則として先に就労選択支援を使うことになる予定です。
就労移行支援をこれから使いたい人は、この「先に使う決まり」には入っていません。希望すれば使える、という扱いです。つまり「自分に向いているか分からない」という段階の人が、自分の意思で先に確かめられる仕組みとして、いま用意されています。使えるかどうかや近くの事業所は、お住まいの市区町村の障害福祉の窓口で確認できます。
すぐ稼ぎたい人も、困っている人も、対象に入っています
国の資料には、ハローワークから就労継続支援A型を紹介された人、すぐに稼ぎたい人、経済的に困っている人、ひきこもりの状態にある人も対象になる、と書かれています。合う進路につなげる必要があるから、というのがその理由です。
検索で上に出てくる記事が「向いていない人」として挙げていた「すぐ就職したい」「生活費の当てがない」が、ここでは対象として名指しで入っています。制度の考え方は、当てはまる人を外すことより、合う進路につなぐことのほうにあります。
迷っているなら、決めるのは見学のあとで大丈夫です
ここまで読んでも決めきれないことのほうが、たぶん普通です。就労移行支援は見学と相談だけでも受けられますし、この記事で見たとおり、事業所に断られるかどうかを心配する必要もありません。
見学のときは、その事業所の訓練の中身が自分の目指す仕事につながるか、就職の実績と定着率を数字で答えてくれるか、この2つを聞いてみてください。答え方に事業所の姿勢が出ます。
よくある質問
就労移行支援が使えない人はどんな人ですか?
法律の条件で対象外になるのは、18歳未満の方、原則として65歳以上の方、就労を希望していない方です。65歳については、65歳になる前日に支給決定を受けていた場合などの例外があります。なお、条文には体調やスキルについての条件はありません。
就労移行支援はどんな人が行くのですか?
全国の利用者は月あたり約3万7千人で、事業所は2,846か所です。1か所あたりにすると平均13人ほどになります。働く年代で在宅の障害のある人はおよそ487万人なので、割合としては130人に1人ほどです。
コミュニケーションが苦手でも利用できますか?
法律の対象条件にコミュニケーション能力の記載はありません。職場でのやりとりに不安があることは、むしろ訓練や相談の対象になります。心配な点は見学のときに伝えて、その事業所でどう扱っているかを聞いてみてください。
外出が難しい場合はどうすればいいですか?
在宅での訓練という仕組みがあります。条件が決まっているので誰でもすぐに使えるとは限りませんが、通えないことがそのまま対象外にはなりません。
向いていないと判断されて、断られることはありますか?
使えるかどうかを決めるのは市区町村の支給決定であって、事業所ではありません。2025年10月に始まった就労選択支援についても、国の資料に「就労の可否を判断したり、振り分けを行うものではない」とあります。
まとめ|向き不向きは、性格ではなく必要な支援で決まります
この記事で見てきたことを整理します。
- よく言われる8つの特徴は、「今は向いていない」「別の窓口が早い」「事業所しだい」「誤解」の4つに分かれます。ひとまとめに「向いていない」と考えなくて大丈夫です
- 向いているかどうかは、訓練・求職活動の支援・職場の開拓・就職後の相談という4つのうち、必要なものが1つでもあるかで決まります
- 制度として使えるかどうかは別の線です。法律が決めている条件は3つだけで、8つのうち制度上「使えない」ことになるのは、就労を希望していない場合だけです
- 通っている人は働く年代の障害のある人の130人に1人ほどで、1か所あたり13人前後の小さな場所です。2025年10月からは就労選択支援で一緒に確かめることもできます
「向いていない人の特徴」を並べた記事を10本読むより、4つの支援のどれかが自分に要るか、条件の3つに当てはまるか。この2つを見るほうが早いです。
シャイニー錦糸町(錦糸町駅近くの就労移行支援事業所)では、AI・Webマーケティングの専門訓練と、在宅での訓練を行っています。「自分は対象になるのか」という段階からで構いませんので、見学の場で聞いてみてください。
この記事の情報について
本記事は、就労移行支援事業所シャイニー錦糸町が、法令と厚生労働省の公表資料をもとに作成しています。制度の内容と数値は下記の一次資料で確認しています(2026年8月時点)。
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行規則(第六条の九): https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60000100019
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(第四条): https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000123
- 厚生労働省「障害者雇用・福祉施策の現状等について」(障害者就労に係る雇用福祉横断検討会 第1回・令和8年6月1日 資料2): https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/001706136.pdf
- 厚生労働省・こども家庭庁「就労選択支援に係る報酬・基準について」(障害福祉サービス等報酬改定検討チーム第42回 資料1): https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/4314e0da-7fd9-41b3-ab9e-386791b399d6/f1613a98/20231211_councils_shingikai_shougaiji_shien_4314e0da_05.pdf
- 厚生労働省「厚生労働省関係の主な制度変更(令和7年10月)」: https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_63798.html
- 厚生労働省「就労選択支援について」: https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_56733.html
検索されている質問の傾向は、ラッコキーワードで「就労移行支援」を含む質問を調べた結果(2026年8月時点・55件)によります。
